俳句検索結果（季語付き）

葉を洗ふ雨の音して文月かな　　鷲谷七菜子　文月（秋）
長月の古りし楽所の雨雫　　宇佐美魚目　長月（秋）
九月はじまる無礼なる電話より　　伊藤白潮　九月（秋）
水臭き水飲み二百十日なり　　中尾寿美子　二百十日（秋）
田を責める二百十日の雨の束　　福田甲子雄　二百十日（秋）
遠嶺みな雲にかしづく厄日かな　　上田五千石　厄日（秋）
十月のさびしき頬にふれしのみ　　小沢信男　十月（秋）
十月の山森閑と牛を飼ふ　　古賀まり子　十月（秋）
新涼や起きてすぐ書く文一つ　　星野立子　新涼（秋）
湖見えてより新涼の湖西線　　高浜礼子　新涼（秋）
大木に背後をあづけ涼新た　　小林貴子　涼新た（秋）
睨む目を見返してゐる秋暑かな　　仙田洋子　秋暑（秋）
秋暑しわれを死なしむ夢いくたび　　佐藤鬼房　秋暑し（秋）
窯たいて残暑のまなこくぼみけり　　新田祐久　残暑（秋）
ぼうたんの百のゆるるは湯のやうに　　森澄雄　牡丹（夏）
人が唄ふ酒場に秋を惜しみけり　　島谷征良　秋惜しむ（秋）
秋の日や化粧へば魂のいづるなり　　金子晉　秋の日（秋）
秋の日のかたむくところ都府楼趾　　山本洋子　秋の日（秋）
ゆく秋やふくみて水のやはらかき　　石橋秀野　行く秋（秋）
この秋は墨継ぎもなく行く秋ぞ　　高橋龍　行く秋（秋）
蛇の舌なんとかなしげ秋没日　　河内静魚　秋の入日（秋）
応へるも無言も秋の深みより　　小檜山繁子　深秋（秋）
深秋の白き枕に寝落つかな　　櫛原希伊子　深秋（秋）
秋深し石に還りし石仏　　福田蓼汀　秋深し（秋）
ちかぢかと馬の顔ある暮の秋　　林徹　暮秋（秋）
秋寒の濤が追ひ打つ龍飛崎　　上村占魚　秋寒（秋）
あはれ子の夜寒の床の引けば寄る　　中村汀女　夜寒（秋）
やや寒の象に曳かるる足鎖　　秋元不死男　やや寒（秋）
冷ややかにただ一言の美しき　　橋本鶏二　冷やか（秋）
身に入むや女黒服黒鞄　　田中裕明　身に入む（秋）
身に入むや星に老若ある話　　蓬田紀枝子　身に入む（秋）
日かげれば音冷まじき水の木曾　　鷲谷七菜子　冷まじ（秋）
冷まじや二時間待つて名を呼ばる　　坂巻純子　冷まじ（秋）
冷まじや遺影を借りる役廻り　　鈴木鷹夫　冷まじ（秋）
長き夜の楽器かたまりゐて鳴らず　　伊丹三樹彦　長き夜（秋）
長き夜の文書きて時呼び戻す　　岸原清行　長き夜（秋）
よそに鳴る夜長の時計数へけり　　杉田久女　夜長（秋）
爽やかな手綱さばきの馬車に乗る　　高浜礼子　爽やか（秋）
さわやかに楷書の墓の坪内家　　坪内稔典　爽やか（秋）
爽かに日のさしそむる山路かな　　飯田蛇笏　爽やか（秋）
片付けて机つめたき十三夜　　細井みち　十三夜（秋）
ひとごゑの巌にはぢけて後の月　　廣瀬直人　後の月（秋）
深息を父が落として十三夜　　冨田正吉　十三夜（秋）
やはらかき身を月光の中に容れ　　桂信子　月光（秋）
月光や川中島のうすき稲架　　日原傳　月光（秋）
眠れざる夜は月光の影絵番　　中西夕紀　月光（秋）
名月や門の欅も武蔵ぶり　　石田波郷　名月（秋）
名月の二度ある年を木曾の月　　矢島渚男　名月（秋）
名月か無月か知らず深夜の餉　　大牧広　名月（秋）
月の風マルセルマルソー吹かれけり　　宇多喜代子　月（秋）
見つめをる月より何かこぼれけり　　富安風生　月（秋）
藁色の月出て鶴はねぐらかな　　三嶋隆英　月（秋）
火を焚けば火のうつくしき無月かな　　栗生純夫　無月（秋）
月白のいづれかにほふ筆と墨　　吉田汀史　月白（秋）
滝津瀬に三日月の金さしにけり　　飯田蛇笏　三日月（秋）
十六夜や母と湯浴みて妻はしやぐ　　金子晉　十六夜（秋）
ままごとのお客は猫と昼の月　　秦夕美　月（秋）
畑のもの海にて洗ふ良夜かな　　岸本尚毅　良夜（秋）
上野へと汽車すべりたる良夜かな　　日原傳　良夜（秋）
よむやうにうたふ子のうた良夜かな　　上田日差子　良夜（秋）
水呑んで水の拡がる星月夜　　金子潤　星月夜（秋）
十階にこぼれ松葉やほしづくよ　　加藤郁乎　星月夜（秋）
夕ぞらのいろの中から秋の星　　三橋敏雄　秋の星（秋）
夢殿やげに天平の天高し　　渡辺恭子　天高し（秋）
木曾馬の肥えて短足山日和　　青柳志解樹　馬肥ゆる（秋）
祝辞みな天高く馬肥ゆるなり　　土生重次　天高し（秋）
みじろぎにきしむ木椅子や秋日和　　芝不器男　秋日和（秋）
秋晴れに立つコンドルの後頭部　　今井聖　秋晴（秋）
秋晴の週末を待つスニーカー　　高浜礼子　秋晴（秋）
秋声の中をわが身の遊行僧　　渡辺昭　秋声（秋）
白壁の向う側から秋の声　　渡辺鮎太　秋の声（秋）
秋の声振り向けば道暮れてをり　　豊長みのる　秋の声（秋）
秋風や草の中なる水の音　　深見けん二　秋風（秋）
秋風の蛇口と見れば閉むる癖　　岩田由美　秋風（秋）
瞑りては秋風われを離れゆく　　神蔵器　秋風（秋）
うぐひす張り踏むしのび泣く秋風よ　　渡辺恭子　秋風（秋）
断崖やもう秋風のたちつてと　　辻征夫　秋風（秋）
すれ違ひたる雲水は秋の風　　細井みち　秋の風（秋）
秋の風鶏の見るもの我に見えぬ　　加藤楸邨　秋の風（秋）
石段の上なにもなく秋の風　　内田美紗　秋の風（秋）
胴上げの力が抜ける秋の風　　橋本七尾子　秋の風（秋）
初風はどんぐり山に吹いてをり　　大峯あきら　初風（秋）
へつつひの火のたらたらと雁渡し　　黛執　雁渡し（秋）
干してあるシャツが抱きあふ雁渡　　辻桃子　雁渡し（秋）
おのが顔消す青北風の欅かな　　石田よし宏　青北風（秋）
一期はゆめ野分の鳥のただ狂へ　　後藤綾子　野分（秋）
赤ん坊の拳にちから初嵐　　甲斐遊糸　初嵐（秋）
海神の髪は銀初嵐　　吉野朋子　初嵐（秋）
放課後の暗さ台風来つつあり　　森田峠　台風（秋）
颱風の力不足のままに去る　　伊藤白潮　颱風（秋）
颱風の去つて玄界灘の月　　中村吉右衛門　颱風（秋）
銀漢の尾を垂れにけり島泊り　　清崎敏郎　銀漢（秋）
天の川小さくあれど志　　矢島渚男　天の川（秋）
天の河落ちんばかりに鬼太鼓　　三嶋隆英　天の川（秋）
死がちかし星をくぐりて星流る　　山口誓子　流星（秋）
流星の尾の長かりし湖の空　　富安風生　流星（秋）
星飛べり空に淵瀬のあるごとく　　佐藤鬼房　星飛ぶ（秋）
銀行員等朝より蛍光す烏賊のごとく　　金子兜太（金子兜太句集）　烏賊（夏）●
おおかみに蛍が一つ付いていた　　金子兜太　蛍（夏）
老人の前の秋雨つよき谷　　飯田龍太　秋雨（秋）