俳句検索結果（季語付き）

ひぐらしや重たくなりし旅鞄　　遠藤若狭男　蜩（秋）
蜩のなき代りしははるかかな　　中村草田男　蜩（秋）
かなかなやしばらく見えて水の底　　岩渕晃三　かなかな（秋）
蜻蛉のかさりと止まる帽子かな　　長谷川櫂　蜻蛉（秋）
赤蜻蛉ふゆる死後にもかかる空　　行方克巳　赤蜻蛉（秋）
とゞまればあたりにふゆる蜻蛉かな　　中村汀女　蜻蛉（秋）
蟷螂の衰へてより石に執す　　堀井春一郎　蟷螂（秋）
蟷螂に怒号のなきを惜しむなり　　中原道夫　蟷螂（秋）
いぼむしり思ひ直して動きけり　　清水みつる　いぼむしり（秋）
幻の平等院やきりぎりす　　川崎展宏　螽斯（秋）
写絵の巴里を跨ぐきりぎりす　　中村苑子　螽斯（秋）
一湾の潮しづもるきりぎりす　　山口誓子　螽斯（秋）
ぎす鳴ける故郷の野の小駅かな　　羽田忠右　ぎす（秋）
ばつた跳ね島の端なること知らず　　津田清子　ばった（秋）
きちきちのわが歩に追はれ海に出づ　　中拓夫　きちきち（秋）
少しづつ動くばつたや石の上　　岩田由美　ばった（秋）
がちやがちやの奥の一つを聞きすます　　渡辺桂子　がちやがちや（秋）
がちやがちやのどこへ吊りても鳴きにけり　　安藤赤舟　がちやがちや（秋）
森を出て会ふ灯はまぶしくつわ虫　　石田波郷　轡虫（秋）
死のうしろ生の前より鉦叩　　平井照敏　鉦叩（秋）
まつくらな那須野ケ原の鉦叩　　黒田杏子　鉦叩（秋）
暁は宵より淋し鉦叩　　星野立子　鉦叩（秋）
ふるさとの土の底から鉦たたき　　種田山頭火　鉦叩（秋）
手の内に蝗の力感じつつ　　依田由基人　蝗（秋）
向き合へる蝗の貌の真面目かな　　松浦加古　蝗（秋）
電柱に手を触れてゆくいなご捕り　　桂信子　蝗（秋）
放ちたるすいとが庭で鳴きにけり　　邊見京子　すいと（秋）
ふるさとや馬追鳴ける風の中　　水原秋桜子　馬追（秋）
すいつちよのちよといふまでの間のありし　　下田実花　すいつちよ（秋）
螻蛄鳴くや薬が誘ふわが眠り　　楠本憲吉　螻蛄鳴く（秋）
足音の絶えてそれより蚯蚓鳴く　　山坂嘯月　蚯蚓鳴く（秋）
みみず鳴く日記はいつか懺悔録　　上田五千石　蚯蚓鳴く（秋）
蓑虫の十二単の萩づくし　　八染藍子　蓑虫（秋）
蓑虫の寝ねし重りに糸ゆれず　　能村登四郎　蓑虫（秋）
蓑虫のつつ立ちあるく日和かな　　樋口冨貴子　蓑虫（秋）
おもかげのうするゝ芙蓉ひらきけり　　安住敦　芙蓉（秋）
はなびらを風にたゝまれ酔芙蓉　　川崎展宏　酔芙蓉（秋）
横顔のまこと母似や白芙蓉　　谷口素子　白芙蓉（秋）
木犀のこぼれ花より湧ける香も　　皆吉爽雨　木犀（秋）
金木犀匂ひまだあるうちに散る　　貞弘衛　金木犀（秋）
金木犀風の行手に石の塀　　沢木欣一　金木犀（秋）
木犀の香やどの道を歩いても　　山下鯉風　木犀（秋）
人影の短かく通る白木槿　　杉崎恒夫　白木槿（秋）
いつまでも吠えゐる犬や木槿垣　　高浜虚子　木槿（秋）
目覚めむと乳児の睫や白木槿　　石田いづみ　白木槿（秋）
熟柿てふ色も形も危ふくて　　宮地れい子　熟柿（秋）
柿色の日本の日暮柿食へば　　加藤楸邨　柿（秋）
柿を剥く山道たどるごとく剥く　　きくちつねこ　柿（秋）
梨食うてすつぱき芯にいたりけり　　辻桃子　梨（秋）
この梨の二十世紀の残り食ふ　　須原和男　梨（秋）
梨むいてゐるかたはらに児を寝かせ　　田中裕明　梨（秋）
刃を入るる隙なく林檎紅潮す　　野澤節子　林檎（秋）
林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき　　寺山修司　林檎（秋）
体温をうばはれて出る林檎畑　　早野和子　林檎（秋）
白桃に入れし刃先の種を割る　　橋本多佳子　白桃（秋）
白桃をすするこの世に遺されて　　佐藤和枝　白桃（秋）
葉ごもる桃午後といふ語をさびしめり　　能村登四郎　桃（秋）
無花果の曖昧模糊の味愛す　　水口楠子　無花果（秋）
捥ぎて食む無花果に日のぬくみあり　　大泉藻子　無花果（秋）
無花果挘ぐ平らにのべし妻の掌へ　　神蔵器　無花果（秋）
黒葡萄鋏を入るる隙のなし　　嶋田麻紀　葡萄（秋）
一粒も欠けざる葡萄選び買ふ　　右城暮石　葡萄（秋）
一粒に灯がひとつづつマスカット　　風戸庸子　マスカット（秋）
あり合はせと言ひし品数青すだち　　佐藤博美　すだち（秋）
薬師寺の塔かくれなし柚の上　　黒田桜の園　柚子（秋）
眉寄せてかぼす絞るもうつくしく　　三島広志　かぼす（秋）
青蜜柑車窓暮るるにまかせたり　　行方克巳　青蜜柑（秋）
泣き虫に転がしてやる青蜜柑　　大倉祥男　青蜜柑（秋）
少年となりつつあらむ青みかん　　田中正子　青蜜柑（秋）
深裂けの柘榴一粒だにこぼれず　　橋本多佳子　柘榴（秋）
大空の紺はりつめて柘榴割れ　　出渕静枝　柘榴（秋）
よく響く嗽ひのラ音実柘榴へ　　原子公平　実柘榴（秋）
胡桃割る胡桃の中に使はぬ部屋　　鷹羽狩行　胡桃（秋）
胡桃割り愛充てる日のごとくあり　　松本澄江　胡桃（秋）
少年の手中の胡桃鉄路越す　　飴山實　胡桃（秋）
衆目を集めたわわの銀杏の実　　小林幸子　銀杏の実（秋）
銀杏を焼きてもてなすまだぬくし　　星野立子　銀杏（秋）
ふる雨に銀杏拾ひけふもゐし　　田畑比古　銀杏（秋）
待つことは長し栗の実落つることも　　山口青邨　栗の実（秋）
間道はいづれも京へ丹波栗　　渕上千津　丹波栗（秋）
青栗に夜来の雨のしぶきけり　　郷原弘治　青栗（秋）
梵鐘に太る信濃の榠樝の実　　北珠江　榠樝（秋）
榠樝の実刃を入れて刃の動かざる　　長谷川櫂　榠樝（秋）
くらがりに傷つき匂ふくわりんの実　　橋本多佳子　榠樝（秋）
どの枝の先にもきんかんなつてゐる　　高木晴子　金柑（秋）
金柑の甘露となりし火を落とす　　神尾久美子　金柑（秋）
金柑やにはかに鶏の目は昏るる　　中拓夫　金柑（秋）
遠征の鞄の底のレモン二個　　田中淑子　檸檬（秋）
髪なほす鏡の隅に檸檬の黄　　安西可絵　檸檬（秋）
ずぶ濡れの街に日が射し檸檬買ふ　　朔多恭　檸檬（秋）
初紅葉ひとの娘の婚期ふと　　藤田湘子　初紅葉（秋）
吊橋を見せて且つ散る紅葉かな　　轡田進　紅葉（秋）
青空の押し移りゐる紅葉かな　　松藤夏山　紅葉（秋）
紅葉して桜は暗き樹となりぬ　　福永耕二　紅葉（秋）
障子しめて四方の紅葉を感じをり　　星野立子　紅葉（秋）
大津絵の鬼が手を拍つ紅葉山　　桂信子　紅葉山（秋）
船あしをゆるめ近づく島紅葉　　波多野爽波　紅葉（秋）
ひとひらの黄葉をひろふドアの前　　横山房子　黄葉（秋）
隠れ里よき水湧いて照葉かな　　大峯あきら　照葉（秋）
水草にはじまる園の紅葉かな　　片山由美子　紅葉（秋）