俳句検索結果

風の来てたんぽぽ絮をはなしけり　　佐藤漾人　季
三味線草おさな友だち皆はるか　　北さとり　季
三遷もせず子を育て花なづな　　斉藤とく子　季
なづな咲きふり返りても風の音　　岸田稚魚　季
涼風や新酒をおもふ蔵の窓　　各務支考　季
日をかけて咲く片栗の蔭の花　　馬場移公子　季
かたくりの明日ひらく花虔しき　　石田あき子　季
かたかごの花の辺ことば惜しみけり　　鍵和田秞子　季
いぬふぐり星のまたたく如くなり　　高浜虚子　季
巨人の如く靴揃へ脱ぐ犬ふぐり　　磯貝碧蹄館　季
犬ふぐりさみしき数をふやしけり　　稲富義明　季
海女たちに茅花の風の冷えてきし　　波多野爽波　季
茅花長け牛つれもどる薄暮かな　　川原重子　季
つばな笛思はぬ高音出てさびし　　江ほむら　季
一人静むらがりてなほ淋しけれ　　加藤三七子　季
道暮るる一人静も去りしごと　　井沢正江　季
摘みてあはれ二人静の花こぼれ　　川瀬カヨ子　季
蓬つむ洗ひざらしの母の指　　中尾寿美子　季
湯のみどりこぼし蓬の香のあふれ　　内村丹美　季
千手観音の一指に蓬の香　　清水径子　季
こきざみに風の来てゐる芦の角　　吉田あき子　季
芦芽ぐむしづけさに水めぐるかな　　鷲谷七菜子　季
蘆の芽や雲の重さを支へかね　　成瀬櫻桃子　季
水草生ふ放浪の画架組むところ　　上田五千石　季
やはらかに岸踏みをれば水草生ふ　　八木林之助　季
水草生ふ川越えしより母の故郷　　安立公彦　季
海苔粗朶や白波階をなして過ぐ　　太田夏洋　季
錦絵の海のこす町海苔を干す　　有賀辰見　季
海苔網を押しあげてゐるうねりかな　　斎藤梅子　季
引き潮のつつとつれ去る若布屑　　隈崎ろ仙　季
潮の香のふくらむ若布干しにけり　　木村和子　季
一口の若布汁熱ければさぞ　　秋元不死男　季
一椀にひろがる野の香蕗の薹　　大久保静幸　季
蕗の薹疎遠となりし故郷かな　　保津操　季
蕗の薹傾く南部富士もまた　　山口青邨　季
自転車を倒して七月匂いけり　　和田悟朗　季
こめかみに人形町の薄暑かな　　有馬朗人　季
山の木に風すこしある薄暑かな　　飯田龍太　季
喪の菓子を食めばほろほろ薄暑かな　　片山由美子　季
炎帝や模型のごとき丸の内　　市川千晶　季
生まれ家の柱のとよむ卯月かな　　柿本多映　季
卯月来ぬ吾にてのひらほどの幸　　ほんだゆき　季
卯月野の木にちかづけばすぐ沾るゝ　　飴山實　季
魂あそびにはよろしけれ風の五月　　坂戸淳夫　季
画家の声太し五月の裸婦の図に　　伊丹三樹彦　季
藍々と五月の穂高雲をいづ　　飯田蛇笏　季
正確こそあわれ麦秋の腕時計　　和田悟朗　季
教師みな声を嗄して麦の秋　　岩田由美　季
口語訳聖書麦秋来りけり　　橋本榮治　季
六月しんと汚れ水上警察署　　鈴木六林男　季
六月来ドアー開けきつて理髪店　　宇多喜代子　季
夏めくや卓布にふるる膝がしら　　田中裕明　季
夏めく灯に吾子が欲りするバレー靴　　能村登四郎　季
夏めくや赤きでべその中華菓子　　　伊藤トキノ　季
青年子規みちのく跋扈したる夏　　鈴木伸一　季
円墳のいただきに人夏はじめ　　井上康明　季
安房の地図十六枚に夏は来ぬ　　大屋達治　季
オパールも真珠も好きよ夏灯　　星野椿　季
イエスめく父の写真や夏に入る　　河村静香　季
夏に入る斑をあきらかに山の鱒　　黛執　季
風疹に寝て人生の夏来るか　　島谷征良　季
初夏の水は光や柿田川　　甲斐すず江　季
初夏旅人茜のあとは食欲りて　　金子兜太　季
をととひはあの山越つ花盛り　　向井去来　季
山坊に白湯沸いてゐる半夏かな　　木内彰志　季
夏深し嶺々は雲掲げ合ひ　　土生重次　季
半夏生ねむりのいろに糸車　　本宮哲郎　季
木の揺れが魚に移れり半夏生　　大木あまり　季
釘跡の黒く滲みて晩夏なり　　中村和弘　季
公式のうつくしく夏果てむとす　　小澤實　季
大暑なりおのれ打つごとタイプ打つ　　渡邊千枝子　季
この暑さ山も憮然として聳ゆ　　和田耕三郎　季
神父の天国語る暑さかな　　福永法弘　季
海と陸ぎりぎりに暑を押し合へり　　金子青銅　季
奥美濃の真鯉に残る暑さかな　　山本洋子　季
かく暑き日を西鶴は死にたるか　　綾部仁喜　季
炎昼や日照る石また昃る石　　伊丹三樹彦　季
炎昼や毒もつ魚華やげり　　佐々木志なを　季
炎昼のうつらうつらと猫科なり　　牧石剛明　季
電柱のどこへも行けぬ炎暑かな　　大野朱香　季
静脈の浮き上り来る酷暑かな　　横光利一　季
水無月の波音返す師宣忌　　伊丹さち子　季
水無月のとほき雲けふもとほくあり　　川島彷徨子　季
水無月となる八方の梢かな　　吉田汀史　季
明け易き夢に通ひて濤の音　　村沢夏風　季
土用太郎薬となさむ草刈れり　　吉田木魂　季
水際のとほき一樹も土用入　　斎藤梅子　季
川底のものの靡ける土用かな　　藤本美和子　季
押入に楽譜重なる溽暑かな　　高野ムツオ　季
生まぐさき羅漢に出会ふ溽暑かな　　佐藤鬼房　季
短夜の戯画の狐とちぎりけり　　後藤綾子　季
短夜の鉤爪動く檻の中　　瀧澤和治　季
叱られて次の間へ出る寒さかな　　各務支考　季
涼風や龍が守りし勅使門　　大屋達治　季
涼風の一楽章を眠りたり　　矢島渚男　季
涼風や息とめ溜めてゐるいのち　　三橋敏雄　季
不動明王夏空かすめゆくものなし　　中田剛　季
うしろへと去る道長し夏の空　　桑原三郎　季
キャンパスの奥に入りゆくほど涼し　　上田日差子　季
遊女知らぬ吾に投込寺涼し　　長嶺千晶　季