俳句

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恋猫の恋する猫で押し通す  永田耕衣 
橇の犬息そろふとき林過ぐ  沢田緑生 
猟犬をまつ白樺のほとりかな  水原秋桜子 
初時雨猿も小蓑を欲しげなり  松尾芭蕉 
鞠のごとく狸おちけり射とめたる  原石鼎 
吹越に大きな耳の兎かな  加藤楸邨 
陽さむく焦燥の熊は汚れたり  富沢赤黄男 
お火焚に逆立つ狐灯りけり  阿波野青畝 
仔馬はね大地の息吹動きけり  稲畑汀子 
鹿の子の斑の美しき歩みかな  鷹羽狩行 
蛍這へる葉裏に水の迅さかな  長谷川零余子 
団扇持ちてたそがれ顔の庵主かな  長谷川零余子 
雛芥子は美しけれど妹恋し  長谷川零余子 
少年の恋花氷痩せてあり  岸田稚魚 
花氷うつくしきこゑ冷淡に  石原舟月 
くれなゐを籠めてすゞしや花氷  日野草城 
戸を叩く狸と秋を惜しみけり  与謝蕪村 
昼顔に米つき涼むあはれ也  松尾芭蕉 
昼顔やますぐな道のさびしさに  松本たかし 
まっしぐら炉に飛び込みし如くなり  高浜虚子 
遠花火海の彼方にふと消えぬ  長谷川素逝 
朝濡るる落葉の径はひとり行かな  長谷川素逝 
明日は発つこころ落葉を手に拾ふ  長谷川素逝 
吹かれゆく心落葉の風の中  長谷川素逝 
ふきまろぶ落葉にしかと大地あり  長谷川素逝 
たまさかの落葉の音のあるばかり  長谷川素逝 
なほ暮れて落葉おのおの土の上  長谷川素逝 
土と暮れ落葉は闇にもどりけり  長谷川素逝 
墓石洗ひあげて扇子つかつてゐる  尾崎放哉 
物書いた扇を人に見られけり  正岡子規 
渡し呼草のあなたの扇哉  与謝蕪村 
帯しめて心きまりぬ汗もなし  星野立子 
汗水は暑さよりわく湯玉かな  北村季吟 
汗の香に衣ふるはな行者堂  河合曾良 
夜もすがら汗の十字架背に描き  川端茅舎 
ほのかなる少女のひげの汗ばめる  山口誓子 
汗の玉抱へし花の束に落つ  長谷川かな女 
狼を龍神と呼ぶ山河かな  金子兜太 
狼の糞見て寒し白根越  正岡子規 
猟犬は眠り主は酒を酌む  高野素十 
猟犬を妬み番犬よく吠ゆる  阿波野青畝 
がりがりとこする音して鹿のゐる  岸本尚毅 
そつぽ向く鹿とカメラに収まりぬ  三村純也 
鹿なりといふふたこゑを皆聞きぬ  瀧春一 
畑もあり百合など咲いて島ゆたか  正岡子規 
浮くさや雨になかれて風に寄る  市原多代女 
窓に月あるもしらぬか灯取虫  市原多代女 
橡の実のつぶて颪や豊前坊  杉田久女 
三山の高嶺づたひや紅葉狩  杉田久女 
うしろ姿のしぐれてゆくか  種田山頭火 
うれし気に回廊はしる鹿の子かな  釈蝶夢 
回廊を鹿の子が駆くる伽藍かな  山口誓子 
大仏の扉をのぞく鹿の子哉  正岡子規 
磨崖仏をば舐めまはる鹿の子かな  阿波野青畝 
一生を泳ぎつづける鮪かな  星野恒彦 
鮪の船水平線を突き上ぐる  山口誓子 
初恋や燈籠によする顔と顔  炭太祇 
立つてもの思ひてをれば猪よぎる  岡井省二 
らしくともらしくなしとも猪の跡  飯島晴子 
猪の荒肝を抜く風の音  宇多喜代子 
月落ちて物の怪めくや鷺の声  角川源義 
どうしても跣足になつてしまふ児よ  稲畑汀子 
此の岸の淋しさ鮪ぶち切らる  加倉井秋を 
鮪糶る男の世界覗きけり  鈴木真砂女 
寒月に腹鼓うつ狸哉  寺田寅彦 
秋のくれ仏に化る狸かな  与謝蕪村 
戸を叩く音は狸か薬喰  正岡子規 
六道の飢餓こそ辛し山狸  丸山海道 
温泉の宿に馬の子飼へり蠅の声  河東碧梧桐 
手凍えてしばしば筆の落んとす  正岡子規 
柿くふや道灌山の婆が茶屋  正岡子規 
はねるほど哀れなりけり秋鰹  椎本才麿 
盂蘭盆の出わびて仰ぐ雲や星  飯田蛇笏 
盂蘭盆会遠きゆかりとふし拝む  高浜虚子 
水打てば夏蝶そこに生れけり  高浜虚子 
見失ひ又見失ふ秋の蝶  高浜虚子 
送り火やかくて淋しき草の宿  高浜虚子 
おくり火の跡は此世の蚊やり哉  横井也有 
雪ふるよ障子の穴を見てあれば  正岡子規 
雪の家に寝て居ると思うばかりにて  正岡子規 
障子明けよ上野の雪を一目見ん  正岡子規 
あたたかき雪がふるふる兎の目  上田五千石 
落日に兎は赤く眼を腫らし  伊丹三樹彦 
自由が丘の夕べは氷る雪兎  山田みづえ 
うさぎうさぎ下校時間となりにけり  関口眞佐子 
酔ざめの風のかなしく吹きぬける  種田山頭火 
赤とんぼじっとしたまま明日どうする  渥美清 
鍋もっておでん屋までの月明り  渥美清 
お遍路が一列に行く虹の中  渥美清 
鯖釣やしらぬ火ならぬ浪のうへ  釈蝶夢 
朝市やまだ海色のさばをせる  角川春樹 
秋鯖の大の一尾を値切りゐる  佐藤鬼房 
鮪より旬の秋鯖食うぶべし  鈴木真砂女 
底紅の咲く隣にもまなむすめ  後藤夜半 
蜂さされが治れば終る夏休み  細見綾子 
水のしらみもなく螢火ひとつ過ぐ  富田木歩 
暴れ空の暮れゐて赤し鳳仙花  富田木歩 
章魚沈むそのとき海の色をして  上村占魚 
蛸壺に鳴く声のして覗きけり  能村登四郎 
地のもののこれ一品と云へば蛸  高沢良一