俳句

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一番草岩の貌して田をあがる  佐藤鬼房 
折々は田螺にぎりつ田草取  正岡子規 
草静か刃をすゝめゐる草刈女  橋本多佳子 
八湯のひとつはすたれ草を干す  大島民郎 
ほこほことひよこ細目に干草に  三宅一鳴 
生きて吾が悲しみ多し誘蛾燈  田中妙子 
村の者来て夜語りや誘蛾燈  高野素十 
菜殻火に大河紅なす夜の母郷  岡部六弥太 
しゃが咲いてひとづまは憶ふ古き映画  三橋鷹女 
冷やされし馬なりすれちがひざま匂ふ  能村登四郎 
老牛を冷やす天日くらき沼  沢井我来 
五位鷺の立ちたる水を盗みけり  稲荷京子 
水論が嫁ひきとれとなつたとか  長谷川素逝 
水喧嘩恋のもつれも加はりて  相島虚吼 
雨乞の井戸の深さに憶えあり  後藤比奈夫 
東山と枕並ぶる午睡かな  大谷句仏 
外寝して遠き胡弓の音も更けし  千代田葛彦 
紅さして寝冷の顔をつくろひぬ  高浜虚子 
あぐら居の汗疹や壁に電車音  山口英二 
人妻の素足の季節硝子の家  鷹羽狩行 
為すなくて強ふ豪雨下の暑気払  本宮銑太郎 
半眼に来信受くる暑気下し  渡辺七三郎 
暑気中り窓に隣りの壁があり  福田蓼汀 
鳥籠のうらを見あげてわが夏負け  高橋潤 
水虫痒く見るデパートの古陶展  皆川盤水 
ふるさとの野山日々恋ふ脚気かな  藤田桐泉 
石塀に大きな葉影赤痢出づ  岡本眸 
和蘭の艦が去んでもコレラかな  前田普羅 
傘雨忌やとり残されし弟子ひとり  三宅応人 
四迷忌や借りて重ねし書少し  石田波郷 
杉風忌杉風肥えて暑からん  青木月斗 
太宰忌や青梅の下暗ければ  小林康治 
暮れてより稲妻しげし露伴の忌  村山古郷 
蝸牛忌の近づくころや照りつゞく  塩谷半僊 
茄子の花知命を過ぎて父母を持つ  相馬遷子 
山の墓地まだ余地ありて茄子の花  松崎鉄之介 
筒鳥の霧重くなりし声音かな  大須賀乙字 
三光鳥女は強く帯巻けり  原田冬水 
慈悲心鳥霧がおもてを吹きて去る  水原秋桜子 
大瑠璃や岨高く額も花をそふ  水内鬼灯 
草匂ひ夜鷹の雨となりてゐき  原田冬水 
雷鳥や雨に倦む日をまれに啼く  石橋辰之助 
降灰の少しくあるや夏つばめ  原田冬水 
翡翠の影こんこんと溯り  川端茅舎 
鷭鳴くや炉をいぶらして沼の家  木村蕪城 
山椒喰一の鳥居を鳴きすぎつ  水原秋桜子 
ふるさとの路ならなくに花ざくろ  三好達治 
葭切に空瓶流れつく故郷  藤田湘子 
わだなかや鵜の鳥群るる島二つ  水原秋桜子 
友の訃に急くや白鷺も同じ向き  安住敦 
夕風や水青鷺の脛をうつ  与謝蕪村 
この宿は水鶏も知らぬ扉かな  松尾芭蕉 
夏鴨や堤の人にいつも遠く  松本弘孝 
鳧鳴いて雨蒼茫と野をとざす  山田真佐 
蝙蝠や暮れては会へぬ人なれば  河原白朝 
かはほりやむかひの女房こちを見る  与謝蕪村 
悪筆のわが飼ふ夏蚕よく肥る  林薫子 
初松魚燈が入りて胸しづまりぬ  草間時彦 
高波をえいやえいやと鰹舟  長谷川素逝 
三尺の家に五尺の松魚哉  正岡子規 
野の道は曲りつ鬱金の花ざかり  中田ゆき 
花煙草二三ひとゆき汽車着きしか  富岡掬池路 
人知れぬ花いとなめる茗荷かな  日野草城 
笯をあぐる真菰の花をこぼしつつ  土山紫牛 
用もなき母の電話や柿の花  荻原正三 
二三町柿の花散る小道かな  正岡子規 
黒鯛釣に虹たつ濤のしづまりぬ  西島麦南 
鯒釣るや濤声四方に日は滾る  飯田蛇笏 
赤鱝の広鰭潮を搏ち搏てる  山口誓子 
浪ここに高くて釣れる海鰻かな  中村若沙 
裂かれて縮む泥鰌工事中通行止  林薫 
泥鰌鍋離反のこころ読めにけり  安住敦 
零へ置けば辷る盃柳川鍋  中村草田男 
ごくどうの戻つて鯰つりばかり  岡田瀉人 
山椒魚に真清水今も湧き流れ  臼田亞浪 
はんざきや杣が獲り得て掌  桜木俊晃 
咲きやんで雛罌粟雨に打たれ居り  前田普羅 
ポピー咲く帽子が好きで旅好きで  岡本眸 
虞美人草寂しさ極む真昼あり  橋本美代子 
陽に倦みて雛罌粟いよよくれなゐに  木下夕爾 
鮎掛や浅間も低き山の中  河東碧梧桐 
みなそこの岩魚に憂の日もあるや  細谷源二 
滝つ瀬の渦の逆巻く山女釣る  中村春逸 
目高ゐるとのぞきゐる子にまだ見えず  星野立子 
緋目高や田園の雨瞭らかに  星野麥丘人 
銭亀や石垣づたひに泳ぎをり  宮城きよなみ 
亀の子の買はれて乾く孤独な背  乾鉄片子 
亀を売り森閑たりき町の角  飴山實 
海亀を捕へて放つ祭あり  田中裕明 
海亀の骸たゞよふ首ふりて  森田峠 
酒倉のその入口の蛇の衣  三宅絹子 
挟まれて竹に毒吐く蝮かな  小西魚水 
夏夕べ蝮を売つて通りけり  村上鬼城 
黐の花こぼれたければ匂ふなり  後藤比奈夫 
夕月は水色なせり黐の花  草間時彦 
疲れては守宮棲む戸に帰るなり  黒岩漁郎 
魚釣りの顔を見に来る蠑螈かな  今西桃里 
夏蛙なすべきことをなほざりに  園田二郎 
草の葉を落つるより飛ぶ蛍かな  松尾芭蕉 
蜻蛉生れ水草水になびきけり  久保田万太郎