俳句検索結果

汐風呂に千鳥きく夜や貸どてら　　岡野知十　季
肩掛に背信の人とも見えず　　村山古郷　季
綿入の絣大きく遊びけり　　金尾梅の門　季
気の向かぬ外出を思ふ綿子かな　　岩谷山梔子　季
まじはりは紙子の切レを譲りけり　　内藤丈草　季
冬服と帽子と黒し喪にはあらぬ　　谷野予志　季
さみしさをコートに包み船出かな　　長橋ふみ子　季
深夜の驛とんびの袖を振り訣れ　　石塚友二　季
二重廻し夕映電車来て消えぬ　　石田波郷　季
うきうきと咲いて淋しき花八ツ手　　飯田龍太　季
手水鉢八手の花に位置をとる　　正岡子規　季
冬帽を脱ぐや蒼茫たる夜空　　加藤楸邨　季
南部富士けふ厳かに頬冠り　　山口青邨　季
足袋脱ぐやわが痩せし身を念ひいづ　　石田波郷　季
風音のふとこそばゆし耳袋　　松木徒人　季
一冬の炉に主たり裘　　青木月斗　季
枇杷咲いて長き留守なる館かな　　松本たかし　季
袴着や銀杏吹き散る男坂　　内藤鳴雪　季
帯解も花橘のむかしかな　　宝井其角　季
髪置や白粉つけし艀の子　　宇治五岳　季
神楽笛おこりし森のたたずまひ　　阿波野青畝　季
お火焼や鍛冶が傳へし古烏帽子　　天野桃隣　季
つややかに古びし鞴祭りけり　　尾添静由　季
臘八の庭師も粥に召されけり　　松田月嶺　季
矢来より覗ける鹿や薪能　　後藤暮汀　季
見て通る終ひ天神賑やかに　　村田橙重　季
雪つもる夜をなく雉子や大師講　　松川藤邨　季
火を焚きつ終ひ大師の餅攝待　　井上楽丈　季
北方に住む一族や熊祭　　岩谷山梔子　季
一玉の燦光放つ夜の聖樹　　比良暮雪　季
慈善鍋晝が夜となる人通り　　中村汀女　季
お取越主人の袴似合ひけり　　吉田一蛙　季
侘助の咲きかはりたる別の花　　富安風生　季
酔うて寝た日の数々や古暦　　高井几董　季
癒えなばの明日語らひや春支度　　小河原慈雨　季
待ち針は花の如しや春著縫ふ　　多田菜花　季
はらはらと山茶花ちるや畳替　　籾山梓月　季
月に打つ藁の青さや注連作り　　茂木紅弓　季
町中の月をいただき暦売　　伊藤浪亭　季
掛乞や空家の多き士族町　　内田百閒　季
羽織着て馬追ふ年の貢かな　　仁木白圖　季
ボーナスや病妻に買ふ羽根枕　　大岡龍男　季
算盤の響き凍てけり事務納　　田村盛子　季
独り住む心の塵も掃納　　松崎千枝　季
大雪や終ひ相場の兜町　　長谷川良一　季
花よりも名に近づくや福寿草　　加賀千代女　季
水入りの水をやりけり福寿草　　正岡子規　季
炉辺の人皆ちやんちやんこ兎狩　　松本長　季
東雲や水に雪ふる網代守　　松岡士川　季
柴漬や簀建の中の波こまか　　高野素十　季
豌豆のみどりたしかや寒肥す　　酒井金風　季
藁仕事戸の隙間なる雨やまず　　山口白甫　季
梟の目じろぎ出でぬ年木樵　　芝不器男　季
焼芋の固きをつつく火箸かな　　室生犀星　季
餅搗いてにはかに寒き亥の子かな　　田中雨城　季
餅搗やほのぼの白き人の顔　　笹川臨風　季
うすめても花の匂ひの葛湯かな　　渡辺水巴　季
粕汁の大きな鍋に家族かな　　高田つや女　季
牛鍋や話はくだけゆくばかり　　岡野亞津子　季
鍋焼や夜気霜となるびぜん橋　　高田蝶衣　季
鍋焼うどん彦星のかくれゐし　　秋田朧村　季
ぽつねんと業なき夜の蕎麦湯かな　　伊藤観魚　季
藁苞のすがすがしさの納豆かな　　中村楽天　季
火燵してくれる山家や納豆汁　　高浜虚子　季
ふるさとの軒端の月の凍豆腐　　中村梯悟　季
浅漬を提げて渋谷の夕月夜　　久米三汀　季
山がけて寒天さらす灯の動く　　佐藤裸人　季
つくるより崩るゝ堰や泥鰌掘　　田上一焦子　季
氷くだいて田舟動かす藺植かな　　岩崎木哉　季
干菜湯に誰入りゐるや音のなし　　湯室月村　季
おにやらひうらの町にも聞えけり　　黒柳召波　季
厄拂あとはくまなき月夜かな　　大島蓼太　季
節季候や畳へ鶏を追ひ上げる　　広瀬惟然　季
達磨忌の障子明けたり茶の木原　　松瀬青々　季
洛北の俳書に侘ぶる几董の忌　　毛利北斗　季
耐へて咲く金盞花海の風つよし　　藤田湘子　季
金盞花あまりし命何なさむ　　角川源義　季
水霜に濡れたる菊や嵐雪忌　　芳野井寒　季
貞徳忌こころのゆとりいつかなし　　加藤凡水　季
近松忌古老の話いつか艶　　深川正一郎　季
夕霧忌ゆかりの月のあがりけり　　鈴木小渓　季
乙字忌は雪の降るさへなつかしき　　大森桐明　季
二十日忌の寒月となりし戻りかな　　志田素琴　季
伊賀人の雪蓑恋し土芳の忌　　名和三幹竹　季
サイネリア咲くかしら咲くかしら水をやる　　正木ゆう子　季
襖絵の山の眠れる狸汁　　縣多従良　季
捕鯨船嗄れたる汽笛をならしけり　　山口誓子　季
鯨突きのよろひ立つたる浜辺かな　　柳原極堂　季
鯨汁遠い港を話す父　　平川雄治　季
冬の鳥射たれ青空青く遺る　　中島斌雄　季
隼の落暉に燃ゆる瞳に逢へる　　百合山羽公　季
冬の雁夕空束の間にかはる　　加倉井秋を　季
寒雁の聲岬風に消えにけり　　大須賀乙字　季
木兎や昼をあざむく月の木戸　　村山葵郷　季
まんさくのすつかり咲いてしまひけり　　片山由美子　季
まんさくや小雪となりし朝の雨　　水原秋桜子　季
武蔵野の林の朝は鶲より　　加藤楸邨　季
冬鶯に行僧おのが影と行く　　川村柳月　季
日々折れて萱に影なし三十三才　　大森桐明　季
鰤網に土佐の荒潮瀬を立てゝ　　坂本泰雄　季