皆川盤水
奥多摩の山見えてゐる苗木市 季一日のたそがれ誘ふ春落葉 季通し鴨塵焚く煙あびてあり 季鮭のぼる川しろじろと明けにけり 季玄関に縄跳びの縄春近し 季塩鮭を女抱きゆく田の日暮 季富士見ゆる日和となりぬ都鳥 季早梅に風の荒ぶる浅間かな 季秩父嶺に雪来しといふ初電車 季初市の焚火受け継ぐ煤け魚婦 季初鴉面を上げて啼きにけり 季水虫痒く見るデパートの古陶展 季花アカシヤ峡の痩田は川に落つ 季磯焚火潮風どよむ松林 季木の芽味噌夜の雨が灯をやわらげり 季緑の週間始まり雨に奔る川 季岩燕尽きず湯殿山の山開き 季
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