奈良県の俳句旅

2月の俳句旅|橿原神宮の紀元祭

2月11日の建国記念の日、橿原神宮では勅使参向のもと紀元祭が行われる。これは、一年を通じて最も大切な祭祀であり、厳粛な雰囲気の中で神楽舞などが奉納される。なお、「紀元祭」を俳句の世界では「橿原祭」と呼び、春の季語となる。

探梅やみささぎどころたもとほり 阿波野青畝

橿原神宮の俳句旅この句は、昭和6年の「日本新名勝俳句」(大阪毎日新聞社)に「大和平原」として採用された俳句である。「みささぎ」は御陵のこと。

初代天皇となられる神倭伊波禮毘古命(かむやまといわれびこのみこと:神武天皇)は、高千穂宮からの東征を経て、畝傍山の南東麓の橿原宮に即位された。この事は記紀に記され、暦の計算から紀元前660年2月11日のことであると言われている。ただ、その年代は根拠に欠けるとされ、現在では神武天皇即位紀元が用いられることは稀ではある。しかし、縄文の太古から文化が育まれてきたこの地域が、日本の夜明けに大きな役割を果たしたことは疑いようがない。
早春の、木々に囲まれた広大な境内を歩くと、太古から吹き寄せる風の中に、明日の希望をつかみとることができる。

【橿原神宮】
神武天皇と、その皇后である媛蹈鞴五十鈴媛命が祀られている。明治22年に奈良県高市郡の住民により、畝傍宮遺跡に神武天皇を祀りたいとの請願があり、皇紀2550年を記念して、1890年(明治23年)4月2日に官幣大社として創建された。本殿は1855年建立の京都御所賢所を移建したもので、重要文化財に指定されている。近くには神武天皇御陵もある。

西の迎賓館「奈良ホテル」

【奈良ホテル】
全国屈指の観光県であるにも関わらず、大阪などからのアクセスも良いため、奈良県のホテル数は全国最下位クラスである。けれども、奈良へ行けば是非とも泊まってみたいのがこの「奈良ホテル」。「西の迎賓館」と呼ばれるホテルで奈良公園内に1909年に誕生し、高浜虚子ら多くの俳人が訪れている。電車を使えば、橿原神宮へも1時間15分。ホテル自体が文化財であるが、奈良観光をするにも重宝するホテルである。

この日本酒で俳句 橿原神宮編

奈良県の俳句旅【御代菊】
日本酒の発祥の地とも言われる奈良県。いまも、「風の森」や「みむろ杉」など全国に知られる名酒がある。そんな中で、小さいながらも1718年に創業し、橿原神宮前で日本酒を醸造する喜多酒造。地元では「御代菊」のブランドで親しまれ、橿原神宮には御神酒として「かむやまと」を奉納する。