12月の俳句旅|浅草の年末
12月17日から19日は、浅草の羽子板市。羽子板は新年の季語であるが、羽子板市は仲冬の季語となる。
羽子板市三日の栄華つくしけり 水原秋桜子
浅草寺は、観世音菩薩の縁日である18日が特に参拝者が多く、古くから年末には、その日を中心に正月用の縁起物などを売る歳の市が立っていた。とくに雷門から本堂にかけては江戸随一の規模の市となり、女子が誕生した家に羽子板を贈る風習が盛んになった江戸末期には、羽子板が歳の市の主役になったという。
蜻蛉に似る羽根から悪虫(病気)退治の印として、また、羽根の先端の豆を「まめな暮らし」に掛けて、現在でも羽子板は縁起物として境内を彩り、売り子の小気味好い口上とともに、浅草の年末には欠かせないものとなっている。
【浅草寺】
正式には金龍山浅草寺と号し、観音菩薩を本尊とすることから浅草観音とも呼ばれる。創建は推古天皇36年(628年)で、東京最古の寺院である。境内には雷門や仲見世通りなどの見どころがあり、芭蕉句碑もある。
【浅草の名店①神谷バー】
歴史のある街だけあって、浅草には名店が多い。台東区浅草1-1-1には電気ブランで知られる神谷バーがある。明治13年創業の、日本で初めて生まれたバーであり、現在でも気軽に立ち寄れる、懐かしい雰囲気の飲食店。
この日本酒で俳句 浅草編
【屋守】
東京屈指の歴史を誇る豊島屋は、現在東村山市に蔵を置くものの、慶長元年(1596年)に神田で生まれた。白酒の元祖としても知られ、江戸時代に「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」と謳われ、多くの文芸作品に登場するほどの名門だった。今では「金婚」のブランドで知られているが、限定酒の「屋守」は、近年、日本酒ファンの間で評判。