森田峠 ●
武蔵野に大きな春の雲浮ぶ 季子に跳べて母には跳べぬ芹の水 季客を待つ船の日覆はためける 季秀吉の書状短かしお風入 季放課後の暗さ台風来つつあり 季大漁旗鰯の山のてつぺんに 季今もなほ戦の歌を年忘れ 季教会と枯木ペン画のごときかな 季教へ子に逢へば春着の匂ふなり 季箱河豚の鰭は東西南北に 季鉾どこにとどまりゐるや雨の京 季藺の花のほかに家とてなかりけり 季海亀の骸たゞよふ首ふりて 季障子あきすぐ閉ざされし捨蚕かな 季
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