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古賀まり子

紅梅や病臥に果つる二十代 
夕月は母のぬくもり花大根 
桜草入門のけふ男弟子 
今生の汗が消えゆくお母さん 
十月の山森閑と牛を飼ふ 
竹林の奥あかるくて盆休 
亡き母の分のみ残り茸飯 
月光の満ちゆくかぎり蕎麦の花 
人影にさへ露草は露こぼし 
ねんねこのその母のまだ幼な顔 
火の鳥となる落日の大白鳥 
祖母も母も並びて小さし屠蘇を受く 
初電話声もうららに癒えたまふ 
破芭蕉日月過ぎて何のこる 
緑立つ日々を癒えたし母のため 
若き日を眩しむよはひ名残雪 

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