右城暮石 ●
一つづつ灯を受け止めてさくらんぼ 季鳥威夜の光得てひかるなり 季老人の日といふ嫌な一日過ぐ 季起きあがる牡鹿もう角伐られゐて 季一粒も欠けざる葡萄選び買ふ 季風呂敷のうすくて西瓜まんまるし 季一番と言はず一号木枯吹く 季大根が一番うまし牡丹鍋 季木に石に注連かけて年改まる 季いつからの一匹なるや水馬 季散歩圏伸ばして河鹿鳴くところ 季秋刀魚焼き宝くじ焼く青焔 季子蟷螂風に吹かれて生まれしか 季人に馴れず人を怖れず船虫は 季賞多き菊花展にて疲れたり 季がうな吐く水を捨ててはがうな売る 季
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