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内藤鳴雪 

朝立や馬のかしらの天の川 
元日や一系の天子不二の山 
四十五歳の夢をさまして初日の出 
只たのむ湯婆一つの寒さかな 
俎板に薺のあとの匂ひかな 
初冬の竹緑なり詩仙堂 
花桐や二条わたりの夕月夜 
月の出を芙蓉の花に知る夜かな 
案山子にも女心や夜の道 
道の辺や露深草の捨車 
したたかに雨だれ落つる芭蕉かな 
此団居凡兆の居ぬ寒さかな 
病む身には昼もかゞまる蒲団かな 
故郷に嬉しきものの初音かな 
雀子や走りなれたる鬼瓦 
銀杏の花や鎌倉右大臣 
写経する傍に湧く柚味噌哉 
炭焼の顔洗ひゐる流れかな 
袴着や銀杏吹き散る男坂 
曇る日や深く沈みし種俵 

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