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矢島渚男 ●

さびしさや撞けばのどかな鐘の音 季
雪解谷きのふの旅の人とあふ 季
行きつきしところより春の波返す 季
父がまづ走つてみたり風車 季
涼風の一楽章を眠りたり 季
不良なつかし青田をひろげたる津軽 季
もくもくと忙しくゆく毛虫の毛 季
凌霄やギリシャに母を殺めたる 季
名月の二度ある年を木曾の月 季
天の川小さくあれど志 季
漉き紙のほの暗き水かさねたり 季
姫始め闇美しといひにけり 季
雪空へすひあげらるるどんどかな 季
目隠しでお聞き李の花ざかり 季