岡本眸 ●
春の夜のハンカチ人のため使ふ 季日曜といふさみしさの紙風船 季臥すは嘆き仰ぐは怨み流し雛 季氷店一卓のみな喪服なる 季石塀へ水鉄砲のためし撃ち 季洗ひ髪母に女の匂ひして 季蛍籠蛍の死後も闇に置く 季地の罅によべの雨滲む秋彼岸 季手の温み移れば捨てて烏瓜 季文房具屋に昼を遊べり寒の入 季愛ほろぶごとセーターのほどかるる 季渚なき海をさびしと目貼しぬ 季温もるは汚るるに似て風邪ごもり 季柚子湯出て夫の遺影の前通る 季生きものに眠るあはれや龍の玉 季橋かけてさびしさ通ふ枯木山 季残りしか残されゐしか春の鴨 季秋風や柱拭くとき柱見て 季雲の峰一人の家を一人発ち 季溺愛のわが手にかけし胡桃割 季夫の嘘うなづき乍らレース編む 季石塀に大きな葉影赤痢出づ 季ポピー咲く帽子が好きで旅好きで 季雨を見て眉重くゐる紫蘭かな 季きりん草枯れゆけり括られもせず 季夕凪の海を硬しと見てゐたり 季海猫鳴くや鉄路の終は潮くさき 季
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