後藤比奈夫 ●
首長ききりんの上の春の空 季父母に叱られさうな水着買ふ 季登山靴穿いて歩幅の決りけり 季東山回して鉾を回しけり 季蛞蝓といふ字どこやら動き出す 季献花いま百合の季節や原爆碑 季睡蓮の水に二時の日三時の日 季酒を温めて中堅社員たり 季水音と即かず離れず紅葉狩 季鹿寄せの喇叭夕べは長く吹く 季手袋に包むいちにち使ひし手 季兵糧のごとくに書あり冬籠 季双六の振出しのまづ花ざかり 季手拭の紙屋治兵衛も二の替 季つくづくと寶はよき字宝舟 季穂俵に乾ける塩のめでたさよ 季青蜜柑おのが青さに青ざめて 季歩板にも鰯のあぶら滲みつきて 季干し上げてさよりに色の生まれたる 季忍冬の花のこぼせる言葉かな 季泣くよりは笑ひながらに浮いてこい 季雨乞の井戸の深さに憶えあり 季黐の花こぼれたければ匂ふなり 季二又に咲く三椏もありしこと 季満天星の鈴も更紗に染まるとは 季白樺の花を覚えて穂高去る 季蟻地獄待つといふこと知つてをり 季
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