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星野麥丘人 

母訪へば母が菜飯を炊きくれぬ 
厩出しに会ひぬ野川も弾みつつ 
夏風邪やすずめのこゑに耳藉して 
水暗きところにをりぬ通し鴨 
八月の雨あらあらし白馬村 
朝雲は湖へながれぬ草ひばり 
新松子山脈に雲遼かなり 
長命寺裏の雪の日歩きけり 
只の年またくるそれでよかりけり 
ぽこぽこと五日の出湯や麓人と 
さかづきを置きぬ冷夏かも知れず 
はや咲きぬ独身寮の瓜の花 
緋目高や田園の雨瞭らかに 
暮るゝ海みな見てをりぬ秋土用 
高浪の磯へ出でけり日蓮忌 
どうだんに秋芽のたちしうすぐもり 
走りたくなる日もありぬ金鳳華 
燈台の風くるとろろあふひかな 
男にもつきて砂丘のゐのこづち 

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「初版発行日」2003-12 「著者」星野 麦丘人 (著) 「出版社」ふらんす堂 【KSC】