小林一茶 ●
おれがふく笛と合はすや鹿の声 季雀らも真似してとぶや渡り鳥 季海中や鰯貰ひに犬も来る 季新米の膳に居るや先祖並み 季山里や杉の葉釣りてにごり酒 季我と来て遊べや親のない雀 季目出度さもちう位也おらが春 季とるとしもあなた任せぞ雪仏 季せゝなぎや氷を走る炊ぎ水 季浜風に色の黒さよ誕生仏 季花守や夜は汝が八重桜 季かつしかやなむ廿日月艸の花 季末世とてかたづけがたし虎が雨 季活鯵や江戸潮近き昼の月 季瓜西瓜ねんねんころりころり哉 季どんど焼どんどゝ雪の降りにけり 季 (七番日記)河豚食わぬ奴には見せな富士の山 季菜の花のとつぱづれなり富士の山 季おんひらひら蝶も金比羅参哉 季寝ころんで蝶泊まらせる外湯哉 季鶺鴒がたたいて見たる南瓜かな 季おく霜の一味付けし蕪かな 季入梅や蟹かけ歩く大座敷 季世の中は地獄の上の花見かな 季すね茄子馬役を相勤めけり 季山雀の輪抜けしながらわたりけり 季法の世や在家のばせを花が咲く 季常夏に切り割る川原川原かな 季露の世や露のなでしこ小なでしこ 季吾亦紅さし出て花のつもりかな 季皸をかくして母の夜伽かな 季花御堂月も上らせ給ひけり 季鳰の巣の一本草をたのみ哉 季まんべんに御降受ける小家かな 季夏痩や雷嫌ひの乱れ髪 季
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