俳句

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及川貞 

三つ星の上に月ある寒さかな 
萌ゆる色たがやして行く土色に 
もとめずも心足らひぬ雛の市 
初蛙ひるよりは夜があたゝかき 
はまなすや親潮と知る海のいろ 
寒木瓜や先きの蕾に花移る 
夢のいろのうす紅や花りんご 
八ヶ岳仰ぐやわらび手にあまり 
梅雨ふかし戦没の子や恋もせで 
ネクタイの端が顔打つ春疾風 
ダリヤ切りて瓶にあふるとも子は遠し 
山の蛾や明治の名歌そらんじ合ふ 
盆支度して古町のひそとあり