梅雨　click ⇒ ≪解説≫

梅雨にほふ神鈴しぶり鳴りをして　　鍵和田秞子
われら棲む水の惑星梅雨来たる　　橋本榮治
一角の明けてありけり梅雨の空　　村沢夏風
ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき　　桂信子
梅雨ふかし戦没の子や恋もせで　　及川貞
足とめて見るは梅雨のうなる川　　夏石番矢
梅雨永や隣の屋根の瓦浪　　松根東洋城
夕立のかしら入れたる梅雨かな　　内藤丈草
葉を巻いてトマト病みをり梅雨の庭　　松本たかし
梅雨凝つて四山暗さや軒雫　　原石鼎
談笑のいと朗かに梅雨の宿　　富安風生
目をつむり梅雨降る音のはなれざる　　長谷川素逝
梅雨見つめをればうしろに妻の立つ　　大野林火
梅雨の海静かに岩をぬらしけり　　前田普羅
荒梅雨の降れば必ず人死ぬる　　日野草城
舟きては梅雨の晴間の帆を下ろす　　水原秋桜子
梅雨の人コートをぬげば服白き　　星野立子
濁り江に梅雨雲染まる祭の日　　柴田白葉女