木枯の果はありけり海の音

こがらしの はてはありけり うみのおと

木枯の果はありけり海の音元禄3年(1690年)の「新撰都曲」に初出の池西言水の句。「湖上眺望」の前書きがあり、「海」は琵琶湖、「木枯」は比叡颪である。
言水一周忌追福の「海音集」(金毛斎方設編1723年)に、言水の言として

我木枯のなくは人生のあらまし二つの海のこころも述たり此句を辞世とすべし

と載り、言水の会心作であったことが分かる。この句によって「木枯の言水」との名声をも得、墓碑にこの句が刻まれたという。
なお、和歌において「こがらし」は「身を焦す」に掛ける。辞世として味わえば深みが増す。

現代の有名句「海に出て木枯らし帰るところなし」は、この句を本歌取りにしたとも言われるが、山口誓子は否定している。

▶ 池西言水の句
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