晩秋の季語 落鰻
ニホンウナギは、海で生まれて川を遡上し、5年から12年くらい留まる。そして成熟が進むと、川を下り海に出て、産卵場所であるマリアナ海嶺付近まで移動する。この、産卵のために川を下る鰻のことを「落鰻」といい、「下り鰻」ともいう。これが見られるのは10月下旬ころである。
落鰻の体長は1メートル近くになり、いぶし銀に光り、「銀うなぎ」とも呼ばれる。秋に捕れる鰻のうち、胸が黄色いもの(黄うなぎ)は、越年するものがほとんどである。落鰻は餌を食べないために釣ることができず、簗で捕まえる。それを「鰻簗」といって、秋の季語になっている。
落鰻は、夏の鰻よりも脂が乗っていて美味いとされる。
▶ 関連季語 鰻(夏)
【落鰻の俳句】
虫絶えて簗に雨ふる落鰻 水原秋桜子
籠のぞく夕日明りに落鰻 秋元不死男