季語|焼藷(やきいも)

三冬の季語 焼藷

焼芋(やきいも)

季語と俳句と焼藷寒くなると、サツマイモを熱した焼藷がよく売れる。
サツマイモは、1705年に、琉球から薩摩に伝わった。1719年の朝鮮通信使の「海遊録」に、京都郊外における焼藷(蒸し芋)売買の情景記録があり、この頃に焼藷は生まれたと考えられている。
江戸に焼藷屋が現れたのは、1793年のこと。「江戸繁盛記」(1831年)では煨薯と書かれ、「江戸の婦人、皆、阿薩(おさつ)と曰う」との記述があるように、羞恥心から隠語が使われがちであった。また、店では「八里半」と表記し、その理由を「栗の字、九里と訓ず。乃ちその味、栗と相似て、然も較々少し下るを以っての故に、これを名づくるのみ」としている。
また、「十三里」という表現もあるが、これは「栗(九里)より(四里)美味い」の意味が込められており、産地であった川越(江戸から十三里離れている)のことをも指す。

戦後、リヤカーなどの移動式の石焼き芋屋が繁盛したが、外食産業の発展やコンビニの登場で、現在ではその数も少なくなった。しかし今でも焼藷文化は絶えることなく、コンビニでは人気商品ともなっている。また、「いーしやぁーきいもー、おいもー」の声や、芋焼の笛の音を街角で聞くことがある。
石焼芋に使用されるサツマイモの種類は、「鳴門金時」「紅あずま」「ベニオトメ」などで、ねっとりとした食感に焼き上がる。

【焼藷の俳句】

焼藷屋むかしの汽車の笛鳴らす  三河まさる

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