季語|栴檀の花(せんだんのはな)

仲夏の季語 栴檀の花

樗の花(おうちのはな)花樗(はなおうち)・楝の花(おうちのはな)

栴檀の花の季語と俳句センダン科センダン属センダン。ヒマラヤ山麓原産の落葉高木で、伊豆以西に自生する。5月から6月にかけて、芳香のある淡紫色の小さな花を多数つける。

万葉集には「おうち」の古名で4首歌われている。山上憶良には次の和歌がある。

妹が見し楝の花は散りぬべし 我が泣く涙いまだ干なくに

また、枕草子37段には、下記のようにある。

木のさまにくげなれど、楝の花いとをかし。かれがれにさまことに咲きて、かならず五月五日にあふもをかし。

かつては端午の節句に花を錦の袋に入れて薬玉とし、無病息災を祈った。
「平家物語」に平宗盛・清宗親子が三条河原で生首をかけられた場面があり、罪人の首を架ける木として忌み嫌われたともいう。

材木としては反りやすいために使い勝手が悪く、木偏に悪と書いて「あての木」とも呼んだ。
大成する人物をいう諺「栴檀は双葉より芳し」の「栴檀」は、香木の「白檀」を指す。本来の「センダン」はこちらであり、サンスクリット語の「candana」が語源となっている。
季語となる「栴檀の花」の「センダン」は、樹皮を染色に使うと一気に千段染めることができるからという語源説や、実がたくさんつくことから「千珠(せんだま)」の意味を持つという説などがある。

【栴檀の花の俳句】

千年の樗の花に棲み古りぬ  三橋鷹女
栴檀の花のさかりの睡き昼  日野草城

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