菊の香や奈良には古き仏たち きくのかや ならにはふるき ほとけたち 「笈日記」(各務支考1695年)に「九月九日」として出てくる松尾芭蕉の句。没する約一か月前の元禄7年9月9日(1694年10月27日)、伊賀から奈良に入って詠まれたものである。この句のあとに「霜をかぬ三笠のかげや神の菊」(支考)、「銭百のちかひ出来たならの菊」(惟然)と続く。 前年十月九日の残菊の宴で詠まれた「菊の香や庭に切たる履の底」を下地にしたものか。 ▶ 松尾芭蕉の句