俳句

ともかくもあなた任せの年のくれ

ともかくも あなたまかせの としのくれ

一茶の名句|悲しみの中にたどり着いた境地

ともかくもあなた任せの年のくれ「おらが春」の最後、文政2年(1819年)12月29日の日付が見える小林一茶の句である。その「おらが春」には、下記のようにある。

他力信心信心と一向に他力にちからを入れて頼み込み候輩は、つひに他力縄に縛れて、自力地獄の炎の中へほたんとおち入候、其次に、かかるきたなき土凡夫をうつくしき黄金の膚になしくだされと、阿弥陀佛におし誂へに誂ばなしにしておいて、はや五體は佛染み成りたるやうに悪るすましなるも、自力の張本人たるべく候。問ていはく、いか様に心得たらんには、御流儀に叶ひ侍りなん。答ていはく、別に小むづかしき子細は不存候、ただ自力他力何のかのいふ芥もくたを、さらりとちくらが沖へ流して、さて後生の一大事は、其身を如来の御前に投出して、地獄なりとも、極楽なりとも、あなたさまの御はからひ次第あそばされくださりませと、御頼み申ばかりなり。如斯決定しての上には、なむあみだ佛といふ口の下より、慾の綱をはるの野に、手長蜘の行ひして、人の目を霞め、世渡る雁のかりそめにも、我田へ水を引く盗み心をゆめゆめ持べからず、しかる時は、あながち作り聲して念佛申に不及、ねがはずとも佛は守り玉ふべし、是則、當流の安心とは申なり、穴かしこ   五十七齢

 ともかくもあなた任せの年のくれ  一茶
 
 文政二年十二月廿九日

この文面に現れるように、「あなた」は「阿弥陀仏」である。この年の6月、授かった長女さとを亡くしているが、「おらが春」は、そのさとに捧げられるように記されたものである。浄土真宗の門徒であった一茶。年末を悲しみの中で迎えながらも、「ともかくも阿弥陀さまに全てをお任せいたします」と、その信仰を強くしている様子が伺える。

▶ 小林一茶の句

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