晩夏の季語 浜木綿
浜万年青(はまおもと)
ヒガンバナ科の常緑多年草で、関東から九州にかけての海岸に、7月から9月にかけて芳香のある白い花を咲かせる。浜芭蕉ともいう。
神道で神事に用いる木綿(ゆう)に似ていることから「浜木綿(はまゆう)」の名がついた。また、葉が万年青に似ることから、「浜万年青」とも呼ぶ。
海岸の砂地に育つが、海流によって種子が運ばれたためである。温暖な地域に育つ植物であり、主に黒潮に乗って分布域を広げてきた。
浜木綿は、古く万葉集にも取り上げられた植物で、柿本人麻呂には
み熊野の浦の浜木綿百重なす 心は思へど直に逢はぬかも
の和歌がある。俳諧歳時記栞草(1851年)には「浜木綿の花」が立項されているが、ここでは秋之部八月に分類されている。因みに、「浜木綿の実」は、秋の季語になる。
【浜木綿の俳句】
雲よりも白き帆船浜木綿咲く 小島花枝