鴨の嘴よりたらたらと春の泥

かものはし よりたらたらと はるのどろ

鴨の嘴よりたらたらと春の泥昭和8年(1933年)高浜虚子の句。「五百句」所収。「昭和八年三月三日 家庭俳句会。横浜、三渓園。」とあるから、虚子一族が三渓園に集い句会を開いた時の句。
冬を象徴する鳥である「鴨」。そのはしから零れ落ちてくる春。「たらたら」や「春泥」には、否定的響きもある。「カモ」は言わずもがな。


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三渓園の句碑(神奈川県横浜市)

鴨の嘴よりたらたらと春の泥三渓園の大池畔にある虚子の句碑。三渓園は、生糸貿易により財を成した実業家・原三溪によって、1906年5月1日に公開された庭園。文化・芸術の保護に努め、下村観山ら多くの文化人と交流のあった原三溪。虚子は幾度か三溪のもとを訪ねており、この句は、三溪存命中の1933年に、三渓園を訪れて詠んだもの。
昭和15年(1940年)には、「四月二十一日 日本探勝会。横浜三渓園。待春軒に小憩、観月庵にて句会。聚楽邸北殿の一部臨春閣を見る。」として、「ぼうたんに葭簀の雨はあらけなし」の句もある(五百五十句)。

【撮影日:2019年8月5日】

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