季語|葵(あおい)

仲夏の季語 

立葵(たちあおい)

立葵アオイ目アオイ科の植物には、タチアオイ、ムクゲ、ハイビスカス、フヨウのほか、オクラやワタにいたるまで、多くの種類がある。日本には、タチアオイが薬用として古くから渡来していたと考えられている。万葉集にはよみびと知らずの歌として、

梨棗黍に粟つぎ延ふ葛の 後も逢はむと葵花咲く

がある。また、新古今和歌集では式子内親王が、

忘れめやあふひを草に引き結び かりねの野べの露のあけぼの

と歌ったが、ここでは「葵=あふひ」を「逢う日」に掛けている。
尚、葵の語源は、「仰ぐ日」である。これは、太陽に向かって花を咲かせるところから来ている。徳川家の家紋は「葵の御紋」と呼ばれ、三つ葉葵で知られている。

【葵の俳句】

葵草むすびて古きあそびかな  三浦樗良

▶ 夏の季語になった花 見頃と名所

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季語|紫陽花(あじさい)

仲夏の季語 紫陽花

七変化(しちへんげ)手毬花(てまりばな)額の花(がくのはな)

紫陽花の俳句と季語アジサイ科アジサイ属。日本に自生するガクアジサイが、アジサイの原種。梅雨時に最も映える植物であり、夏の季語となる。
七変化・手毬花の別名もあるが、手毬花は、レンプクソウ科ガマズミ属の「オオデマリ」の別名でもあり、こちらも夏の季語となる。オオデマリは、白い紫陽花のような姿をしている。
額の花は、紫陽花の原種であるガクアジサイのことで、小さな花の周りを額縁のように装飾花が囲んでいる。

紫陽花で一般的な「手まり咲き」のものは、ヨーロッパで品種改良されたセイヨウアジサイ。萼が発達した装飾花を持ち、花と呼ぶ部位は通常の花と異なる。万葉集にはすでに「あじさい」として登場し、

言問はぬ木すら紫陽花諸弟らが練りのむらとにあざむかえけり  大伴家持

紫陽花の八重咲くごとく八つ代にをいませ我が背子見つつ偲はむ  橘諸兄

の2首が見える。
語源は、藍色が集まったものを意味する「あづさい(集真藍)」にあるとする説がある。「紫陽花」は、白居易が別の花に付けた名で、平安時代の学者源順がこの漢字をあてたことから、誤って広まったと言われている。シーボルトは「日本植物誌」の中で「オタクサ」と命名したが、これは、彼の日本人妻であるお滝さんへの愛情が絡むと考えられている。

6月6日は、紫陽花の日とされ、玄関にアジサイの花を逆さ吊りすると、魔除け効果があるとか。

【紫陽花の俳句】

あぢさゐや仕舞のつかぬ昼の酒  岩間乙二

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