仲夏の季語 紫陽花
七変化(しちへんげ)
日本に自生するガクアジサイが、アジサイの原種。梅雨時に最も映える植物であり、夏の季語となる。
一般的に見られる「手まり咲き」のものは、ヨーロッパで品種改良されたセイヨウアジサイ。萼が発達した装飾花を持ち、花と呼ぶ部位は通常の花と異なる。万葉集にはすでに「あじさい」として登場し、
言問はぬ木すら紫陽花諸弟らが練りのむらとにあざむかえけり 大伴家持
紫陽花の八重咲くごとく八つ代にをいませ我が背子見つつ偲はむ 橘諸兄
の2首が見える。
語源は、藍色が集まったものを意味する「あづさい(集真藍)」にあるとする説がある。「紫陽花」は、白居易が別の花に付けた名で、平安時代の学者源順がこの漢字をあてたことから、誤って広まったと言われている。シーボルトは「日本植物誌」の中で「オタクサ」と命名したが、これは、彼の日本人妻であるお滝さんへの愛情が絡むと考えられている。