俳句

広島県の季語と俳句

広島県内 俳句の舞台となった旅館

みやじまの宿 岩惣

「もみじ饅頭」発祥の宿としても知られている、安芸の宮島の名門旅館。1896年(明治29年)春、夏目漱石が松山から熊本へ転任する際に、高浜虚子を誘って宿泊している。漱石の俳句に「行く春や経納めにと厳島」。虚子は漱石との別れを「春雨に傘を借りたる別れかな」と詠み、宮島の風景を詠んだものには「春の浜石灯籠の並びけり」「春の山筧に添ふて登りけり」「回廊も鳥居も春の潮かな」がある。

広島県の御当地季語

厳島の御弓始(新春の季語)
1月20日に厳島神社で行われていた祭事で、現在は境外摂社・大元神社の百手祭となっている。

浜拝(新春の季語)
かつて安芸の製塩業者は、元旦に、一年の製塩の無事を願って塩釜神社を祭った。

鞆八幡の御弓神事(春の季語)
2月第2日曜日に沼名前神社境内社の鞆八幡神社で行われる御弓神事。

八朔柑(春の季語)
ハッサクは、幕末に、現在の広島県尾道市因島田熊町にあった原木から全国に広がった。八朔の頃から食べられたことが名前の由来となっている。

厳島祭(夏の季語)
旧暦6月17日に厳島神社で行われる管絃祭で、日本三大船神事の一つ。

広島忌(秋の季語)
原爆忌といえば長崎忌も含むが、広島忌といえば、8月6日の原子爆弾投下を悼み、世界平和を祈る。

玉取祭(秋の季語)
8月正午満潮時の日曜日に厳島神社で行われる祭礼。

厳島鎮座祭(冬の季語)
12月最初の申の日に厳島神社で行われる祭礼。

牡蠣船(冬の季語)
1660年代に安芸国草津から大阪に向かった牡蠣売りの船が起源。

広島菜(冬の季語)
アブラナ科に属する白菜の一種。広島藩主が参勤交代の時、京都西本願寺から観音寺白菜を持ち帰って栽培したのが始まりとされ、交配で改良を重ねて出来た。

広島県を詠んだ俳句

広島や卵食ふ時口ひらく 西東三鬼
昭和21年夏、原爆の傷跡が残る広島。自句自解に、「未だに嗚咽する夜の街。旅人の口は固く結ばれてゐた。うでてつるつるした卵を食ふ時だけ、その大きさだけのくちを開けた」。

ご当地季語と御当地俳句