茨城県の俳句旅

9月の俳句旅|仲秋の鹿島

貞享4年(1687年)の仲秋の名月を観るために、松尾芭蕉は鹿島に向かった。あいにくの雨月ではあったが鹿島神宮に参拝し、

此松の実ばへせし代や神の秋

鹿島神宮と詠んだ。この時の紀行文は「野ざらし紀行」に次ぐ、芭蕉二本目の紀行文「鹿島紀行」となった。
鹿島の月は海から昇る。やがて月影は北浦を過ぎ、霞ヶ浦の方へと傾いていく。月と水は切り離せぬものゆえ、水郷の名月は特別である。

【鹿島神宮】
常陸国一宮で、宮中の四方拝で遥拝される格式ある神社でもある鹿島神宮には、葦原中国平定に功あった武甕槌大神(たけみかつちのおおかみ)が祀られている。この神社は藤原氏の氏神としても知られ、春日大社の第一殿には、当社から武甕槌大神が勧請されている。
鹿島神宮にとっても9月は特別な月で、12年に1度の午年には、天皇の勅使を迎える「御船祭」と呼ばれる大祭が執り行われる。