5月の俳句旅|初夏の日光
日光と言えば紅葉が思い浮かぶが、新緑の季節も捨てがたい。松尾芭蕉は、おくの細道の旅の元禄2年4月1日(1689年5月19日)に日光に到着し、
あらたうと青葉若葉の日の光
と詠んだ。芭蕉には、この他にも裏見ノ滝を詠んだ「暫時は瀧に籠るや夏の初」の名句もあり、日光の寺社と雄大な自然は、想像力を豊かにしてくれる。
また、5月の日光には重要な行事も組み込まれており、日光二荒山神社では男体山を中心とする日光連山の山開き神事が執り行われ、5月17日から18日には日光東照宮の例大祭に、流鏑馬や百物揃千人武者行列が奉納される。
新緑の中、世界遺産にもなっている寺社を巡りながら芭蕉句碑を探したり、中禅寺湖や華厳の滝を眺めながら俳句を詠むのも楽しい。
【日光二荒山神社】
下野国一宮で日光三山を神体山とし、本社・中宮祠・奥宮から成る。一説には、「二荒(ふたら)」を「にこう」と読んで「日光」の地名がついたという。奈良時代に修験道場として開かれ、現在では伊勢神宮に次ぐ広大な社地を有している。
【日光東照宮】
徳川家康を神格化した東照大権現を主祭神として、1617年に創建された。国宝に指定された荘厳な社殿が立ち並び、「眠り猫」や「三猿」などの彫刻も見応えがある。宝物館の庭には芭蕉句碑もある。
【輪王寺】
二荒山神社と東照宮とともに「二社一寺」と称される。日光二荒山神社とともに、奈良時代の勝道上人により開創されたとされる。空海の来山も伝えられている寺で、現在は天台宗となっている。前を流れる大谷川を少し上ったところにある憾満ヶ淵は、地蔵が並ぶ隠れた名所である。
この日本酒で俳句 日光編
【鳳凰美田|Black Phoenix】
全国に知れ渡る栃木の名酒「鳳凰美田」は、吟醸造りに特化して、一味違うフルーティーさを実現した。中でもPhoenixシリーズは、希少米「愛山」を使用し、蔵のフラッグシップとも言える造りになっている。また、ボトルもそれにふさわしく、まるで東照宮を思わせるような荘厳さがある。