村上鬼城 ●
小春日や石をかみいる赤とんぼ 季残雪やごうごうと吹く松の風 季冬蜂の死にどころなく歩きけり 季 (ホトトギス)●闘鶏の眼つぶれて飼はれけり 季己が影を慕うて這へる地虫かな 季生きかはり死にかはりして打つ田かな 季秋の暮水のやうなる酒二合 季親よりも白き羊や今朝の秋 季川底に蝌蚪の大国ありにけり 季七夕や暗がりで結ふたばね髪 季糸瓜忌や俳諧帰するところあり 季若水のけむりて見ゆる静かな 季年玉や水引かけて山の芋 季鍬始浅間ケ岳に雲かゝる 季相撲取の金剛力や鏡割 季秋聲や石ころ二つ寄るところ 季折さしてかたき蕾や冬の梅 季後の月に明るうなりぬ八重葎 季苔咲くや親にわかれて二十年 季亀鳴くと嘘をつきなる俳人よ 季筍の親竹遠くはえにけり 季蚊柱や吹きおろされてまたあがる 季白菊やうすべにさして狂ひ咲き 季大根引くや低くさがりて鳶の声 季いさゝかの金欲しがりぬ年の暮 季ゆさゆさと大枝ゆるる桜かな 季木の芽してあはれ此世にかへる木よ 季かりそめに京にある日や虎が雨 季浅間山の煙出て見よけさの秋 季雹晴れて豁然とある山河かな 季夏夕べ蝮を売つて通りけり 季虎耳草うゑる穴あり聖石 季痩馬のあはれ機嫌や秋高し 季女房をたよりに老ゆや暮の秋 季岩の上に咲いてこぼれぬ山帰来 季樫の実の落ちて馳け寄る鶏三羽 季蟻出るやごうごうと鳴る穴の中 季
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鷹のつらきびしく老いて 評伝・村上鬼城[本/雑誌] / 吉井たくみ/著2750円(税込/送料別)カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可 【ネオウィング 楽天市場店】