高田蝶衣 ●
糸尽きしも知らで梭をうつ春眠し 季粉を挽けば蛙遠音に答へけり 季舞ふとして袖ひつかけぬ春の燭 季元朝や屋根雪落ちて四方の音 季落魄の身を蓮に寄する一夏かな 季窓あけて見ゆる限りの春惜しむ 季夏足袋や温泉宿の廊下山映る 季夏花折つて水渡る僧や寺見ゆる 季踵嚙む石追ひ来るや富士詣 季石菖や疲れし足をさます水 季箒木や寄る人を嗅ぐ繋ぎ馬 季峯頭に片雲もなし解夏の朝 季夕べ淋しさや茅花茅花の明り持つ 季松原や山雀下りる砂白し 季うたゝ寝のさめて火もなし茶立虫 季薯蕷掘つて入日に土の香の寒し 季箕こぼれを拾ひ残す鶏冬夕べ 季寒搗や石鼓をたゝく音の如 季日直りし海の空寒霞すみにけり 季竈火明りに藪鳥出て来寒の靄 季鍋焼や夜気霜となるびぜん橋 季隠れかねてたつ夕鳥か冬の草 季庭松に月も宿れり寝積まむ 季かゝり舟の旗手なびきて初驛 季福引のから籤すねる法師かな 季梅白しさる籟初の宿ならん 季引鶴や笏をかざして日を仰ぐ 季埋木と共に掘られぬ烏貝 季花人を泊めて衣桁を連ねけり 季
1 |
俳人・高田蝶衣 [ 小早川健 ]2989円(税込/送料込)カード利用可・海外配送不可・翌日配送不可【楽天ブックスならいつでも送料無料】 【楽天ブックス】