岡井省二 ●
手をあげて腋のありけり春の空 季碧き岩五六かたまる夏嶺かな 季滝垢離のからだはなるる耳ふたつ 季ひらきたるままの男の扇かな 季城崎に必ず逢ひし霰かな 季草石蚕といふ夕あかりたまひけり 季白朮火を振りむさゝびにとばれけり 季鳶の輪は村空あまるほとけのざ 季大鯉のぎいと廻りぬ秋の昼 季立つてもの思ひてをれば猪よぎる 季夕映に男に還る鮃かな 季てのひらに蝦蛄をつつんで伊賀の月 季又しても槐の花のゆらぎかな 季芭蕉の花めくれ落ちたる水の上 季宝貝並べ天気を能くしたり 季
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