俳句

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鷹羽狩行 

たんぽぽも地上のものとなる離陸  (狩)
ぬぎをへて衣桁にとほき花ごろも 
つねに一二片そのために花篝 
ぶらんこや坪万金の土の上 
人の世に灯のあることも春愁ひ 
虚子編の季語の一つの虚子忌かな 
ラムネ店なつかしきもの立ちて飲む 
天瓜粉しんじつ吾子は無一物 
目礼のあとの黙殺白扇子 
ビーチパラソルの私室に入れて貰ふ 
断つほどの酒にはあらず初鰹 
とつくんのあととくとくと今年酒 
踊る輪の暗きところを暗く過ぎ 
ことごとく秋思十一面観音 
木々のこゑ石ころのこゑ終戦日 
高くしていよよ高きに登る人 
胡桃割る胡桃の中に使はぬ部屋 
一対か一対一か枯野人 
わかたれて湯気のつながるのつぺい汁 
水餅にものいふ吾の知らぬ妻 
竹馬の高き一人に従へる 
谺して嵯峨野は除夜の鐘づくし 
人の世に花を絶やさず帰り花 
おほかたは男松の声の初松籟 
鉄釜のやがて音に出て福沸し 
鍵善良房の菓子つき福茶かな 
数といふうつくしきもの手毬唄 
てんでんばらばらに四股踏み初稽古 
これやこの伊勢海老の舵紅に 
遠来のもののごとくに仏の座 
半天は鳩に覆はれ節分会 
千年の杉の幹にも苔の花 
みちのくの星入り氷柱われに呉れよ 
紅梅や枝々は空奪ひあひ 
摩天楼より新緑がパセリほど 
溶岩が花なり冬の桜島 
鹿の子の斑の美しき歩みかな 
雲開くことなし富士の山開き 
釣りあげて魚にもつばさ白南風 
人妻の素足の季節硝子の家 
夜は星の宿る高さに橡の花 
けぶること松に習ひて杉の花 
黒髪に芝火の匂ひ伊豆の女中 
文字盤の中も斑雪の花時計 
夜濯ぎのはだけし胸の暗からず 

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