茨木和生 ●
春星が濃しと女を誘ひ出す 季山笑ふ大声の僧ひとり棲み 季壺焼の尻焦げ抜けてゐたりけり 季虚子の句も及かずと思ふ瀧仰ぐ 季硝子戸に竹幹の青業平忌 季二つ目をきけばたしかにばつたんこ 季山霧は晴をいざなふ秋祭 季極月の水を讃へて山にをり 季霜晴の山々空を拡げけり 季鰤起し悪人の名に虚子あげて 季橡落葉して橡の実の落ちてゐず 季正月の地べたを使ふ遊びかな 季左義長に杜の奥より童女来て 季傷舐めて母は全能桃の花 季水替の鯉を盥に山桜 季
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