片山由美子 ●
はなびらのごときをたたみ春日傘 季風船に引かれゆく子に手を引かれ 季すでに名の付きし子猫をもらひ来し 季鳥雲に湖をはなるる湖西線 季美しきうなじ蕾のシクラメン 季喪の菓子を食めばほろほろ薄暑かな 季木の花の香の高きより五月闇 季ばさと落ちはらはらと降り松手入 季髪よりも吹かれやすくて愛の羽根 季青松虫時雨新宿三丁目 季水草にはじまる園の紅葉かな 季まだもののかたちに雪の積もりをり 季煙草やめよと書き添へて寒見舞 季品書の鱈といふ字の美しや 季それらしき花となりゆき水中花 季まんさくのすつかり咲いてしまひけり 季
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