星野麥丘人 ●
母訪へば母が菜飯を炊きくれぬ 季厩出しに会ひぬ野川も弾みつつ 季夏風邪やすずめのこゑに耳藉して 季水暗きところにをりぬ通し鴨 季八月の雨あらあらし白馬村 季朝雲は湖へながれぬ草ひばり 季新松子山脈に雲遼かなり 季長命寺裏の雪の日歩きけり 季只の年またくるそれでよかりけり 季ぽこぽこと五日の出湯や麓人と 季さかづきを置きぬ冷夏かも知れず 季はや咲きぬ独身寮の瓜の花 季緋目高や田園の雨瞭らかに 季暮るゝ海みな見てをりぬ秋土用 季高浪の磯へ出でけり日蓮忌 季どうだんに秋芽のたちしうすぐもり 季走りたくなる日もありぬ金鳳華 季燈台の風くるとろろあふひかな 季男にもつきて砂丘のゐのこづち 季
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