皆吉爽雨 ●
向きあうて茶を摘む音をたつるのみ 季桑解いて丘の雑木につづかしむ 季杖も身もなげうつて草芳しき 季さぎ草の鷺の嘴さへきざみ咲く 季さきほどの雲に子が出来鯊日和 季木犀のこぼれ花より湧ける香も 季日脚伸ぶ夕空紺をとりもどし 季ねんねこの母の眼子の眠いま空へ 季闇のいまうながす厄を落しけり 季一字なほにじみひろごる試筆かな 季広島の西日かなしき駅前に 季新茶古茶しらず疲れに喫したる 季立冬の塵穴菊を捨てそめし 季いづくにか在りたる冬至南瓜切る 季大沼小沼の小沼は木の芽の雨に見ず 季塩田の見えくるなさけ遍路道 季消えて又見えて引鴨水や空 季三日月をしづめし木より霜の声 季白樺の稀にはななめ秋晴るる 季舞ふ雪も華のあきらか寒牡丹 季甚平の紐結びやる濡手かな 季へだたりのさみしく根釣並び見ゆ 季高粱熟るるけふの入日も車窓より 季
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