鷹羽狩行 ●
たんぽぽも地上のものとなる離陸 季 (狩)ぬぎをへて衣桁にとほき花ごろも 季つねに一二片そのために花篝 季ぶらんこや坪万金の土の上 季人の世に灯のあることも春愁ひ 季虚子編の季語の一つの虚子忌かな 季ラムネ店なつかしきもの立ちて飲む 季天瓜粉しんじつ吾子は無一物 季目礼のあとの黙殺白扇子 季ビーチパラソルの私室に入れて貰ふ 季断つほどの酒にはあらず初鰹 季とつくんのあととくとくと今年酒 季踊る輪の暗きところを暗く過ぎ 季ことごとく秋思十一面観音 季木々のこゑ石ころのこゑ終戦日 季高くしていよよ高きに登る人 季胡桃割る胡桃の中に使はぬ部屋 季一対か一対一か枯野人 季わかたれて湯気のつながるのつぺい汁 季水餅にものいふ吾の知らぬ妻 季竹馬の高き一人に従へる 季谺して嵯峨野は除夜の鐘づくし 季人の世に花を絶やさず帰り花 季おほかたは男松の声の初松籟 季鉄釜のやがて音に出て福沸し 季鍵善良房の菓子つき福茶かな 季数といふうつくしきもの手毬唄 季てんでんばらばらに四股踏み初稽古 季これやこの伊勢海老の舵紅に 季遠来のもののごとくに仏の座 季半天は鳩に覆はれ節分会 季千年の杉の幹にも苔の花 季みちのくの星入り氷柱われに呉れよ 季紅梅や枝々は空奪ひあひ 季摩天楼より新緑がパセリほど 季溶岩が花なり冬の桜島 季鹿の子の斑の美しき歩みかな 季雲開くことなし富士の山開き 季釣りあげて魚にもつばさ白南風 季人妻の素足の季節硝子の家 季夜は星の宿る高さに橡の花 季けぶること松に習ひて杉の花 季黒髪に芝火の匂ひ伊豆の女中 季文字盤の中も斑雪の花時計 季夜濯ぎのはだけし胸の暗からず 季
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