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鷲谷七菜子 

花種を蒔きてこころは沖にあり 
風蝕の崖さんらんと鳥交る 
連翹のひかりに遠く喪服干す 
芦芽ぐむしづけさに水めぐるかな 
水中花大きく咲かせ夫持たず 
水中にくもる白日桜桃忌 
葉を洗ふ雨の音して文月かな 
日かげれば音冷まじき水の木曾 
梳く髪の絡みからみて稲びかり 
八雲立つ国の稲穂を手に測る 
手の熱き女と生まれ萩白し 
山の日のしみじみさせば吾亦紅 
冬の雲なほ捨てきれぬこころざし 
拈華微笑の日のさめてまた冬野かな 
梟や燠にちらりと炎立ち 
川幅を追ひつめてゆく枯芒 
枕に手置いてはるかや初昔 

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