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草間時彦 

大磯に一庵のあり西行忌 
逢ひに行く開襟の背に風溜めて 
冷房にゐて水母めくわが影よ 
大粒の雨が来さうよ鱧の皮 
点滴の一滴づつの秋の暮 
まつくらな海がうしろに切子かな 
芋子汁振り向くたびに地蔵岳 
色鳥やきらきらと降る山の雨 
鈴虫を塞ぎの虫と共に飼ふ 
がうがうと黄落の音したりけり 
冬の夜や小鍋立して湖の魚 
窓の下を河流れゐる年忘れ 
百貨店めぐる着ぶくれ一家族 
籠青し翳かさねたる寒卵 
ポインセチアこころに人の棲まずなりぬ 
停年を妻言へり松納めつつ 
えんぶりの笛恍惚と農夫が吹く 
足もとはもうまつくらや秋の暮 
冬薔薇や賞与劣りし一詩人 
家裏に廻る夕日や花みづき 
金雀枝や妻子たむろす古畳 
初松魚燈が入りて胸しづまりぬ 
夕月は水色なせり黐の花 
椎の花友の境涯もてあそぶ 
クロッカス光を貯めて咲けりけり 
車組む道が乾けば道に出て 
公魚をさみしき顔となりて喰ふ 
金魚赤し賞与もて人量らるる