山口波津女 ●
香水の一滴づつにかくも減る 季すぐそばに深き海ある夜の涼み 季雪合戦休みてわれ等通らしむ 季寒木瓜の鮮かな紅衰へず 季初刷のはやとぢてあるホテルかな 季書初に日がさしさつと書きむすぶ 季毛糸編み来世も夫にかく編まん 季穀象といふ虫をりて妻泣かす 季金魚夜を如何に過すや人は寝る 季蜜柑山眼のみ頂上まで行けり 季旅一夜蜜柑の花を枕辺に 季雪渓と思ふあたりも夜の闇 季ぬれし手のとびらをあくる冷蔵庫 季とろろ薯摺る音夫にきこえよと 季
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