高浜年尾 ●
終りつゝある朴の花なほ匂ふ 季秋草の乱るる中に荘閉す 季鰭酒や逢へば昔の物語 季寒梅の固き蕾の賑しき 季かまくらといふもの雨にあはれなり 季紫は水に映らず花菖蒲 季万両にかゝる落葉の払はるゝ 季桑海や大夕立あとなほけぶる 季お遍路の美しければあはれなり 季火蛾落つる灯下に湖の魚来る 季引潮の今がさかひや鱚を釣る 季船音の呼子の夜長杯重ね 季夏館フランス人形窓にあり 季石南花は日陰をよしと盛りなる 季茸狩の尾根みちへ出て戻るなり 季雑草園都忘れは淡き色 季
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