神田川祭の中をながれけり

かんだがわ まつりのなかを ながれけり

大正14年(1925年)作の久保田万太郎の俳句。1952年刊「草の丈」収録。「島崎先生の『生ひたちの記』を読みて」の前書にあるように、島崎藤村の「生ひたちの記」から発想したとされる。
「生ひたちの記」には、「ある婦人に與ふる手紙」とサブタイトルがあり、亡くなった妻の友人への手紙という形式のもの。8歳で上京してからの身の上話が進む中、近況報告が挟まれる。それは、榊神社の祭礼で、山車・踊屋台が並ぶ中、獅子や神輿が練り歩くというもので、子供の世界への回帰が加速する。

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