俳句

くろがねの秋の風鈴鳴りにけり

教科書にも載る飯田蛇笏の有名句

くろがねの あきのふうりん なりにけり

くろがねの秋の風鈴鳴りにけり 俳句自選句集「霊芝」(1937年)所収の飯田蛇笏の俳句。「霊芝」昭和8年(1933年)項の44句のうちのひとつである。

風鈴は夏の季語となるが、ここでは「秋」を用いて季節外れであることを示している。南部鉄器だと思われる「くろがねの風鈴」とすることで、夏場には涼をもたらすために軽快であっただろう音色を重たい響きに変え、寒さをイメージさせる。
「外し忘れた黒鉄で出来た風鈴が、秋風に鳴っているよ」というような意味になり、その秋風は台風のような強い風かもしれない。いずれにせよ、時機を逃したものの悲哀、忘れ去られたものの悲哀が感じられる俳句である。

▶ 飯田蛇笏の俳句



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