俳句

目には青葉山ほととぎす初がつお

みめにはあおば やまほととぎす はつがつお

現代俳句では詠めなくなった「名句」

目には青葉山ほととぎす初がつお江戸新道(池西言水編1678年)所収の山口素堂の句。曠野(山本荷兮編1689年)にも収められている。「目に青葉山ほととぎす初鰹」とされることもあるが、本来はこちらの「目には青葉山郭公初鰹」。
素堂家集にも収められており、「かまくらにて」の前書がある。延宝6年(1678年)に鎌倉材木座海岸で詠んだものだと言われている。
徒然草第百十九段にも出てくるように、鰹は鎌倉の名物。江戸時代には縁起物として大変な人気を呼び、高値を厭わず鎌倉や小田原で揚がった初鰹を求めることが粋とされた。


初夏の名物を列挙しただけのものではあるが、それぞれを視覚・聴覚・嗅覚(味覚)に振り分けて、全身で季節を感じようとしている。
三段切れの典型だとか、季重なりだとかの批判もあるが、素晴らしい季節の中にいるということを認識させてくれる句であり、口遊めば心が弾む名句である。

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道の駅はくしゅうにある句碑(山梨県北杜市)

目には青葉山ほととぎす初がつお山口素堂の生誕地は甲斐国巨摩郡上教来石村字山口とされ、現在では山梨県北杜市に含まれる。この句碑がある「道の駅はくしゅう」から、北西に5㎞ほど国道を走ったところに「山口素堂誕生の地碑」があり、そこにも「目には青葉山ほととぎす初がつお」の句碑が立っているらしい。
ここ「道の駅はくしゅう」の「目には青葉山ほととぎす初がつお」の句碑は2基並んで立っており、その大きい方は昭和58年6月建立。書は田中角栄、世話人は金丸信。島口完氏の営む山梨県内のドライブインに設置されていたが、ドライブインは閉鎖となり、夫人の寄贈により、国道20号線沿いに平成12年にオープンした「道の駅はくしゅう」に移設された。16.5トンにもなる御影石である。
小さい方には「山口素堂先生出生地」とあるが、説明書きがない。
【撮影日:2017年5月6日】

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