野ざらしを心に風のしむ身哉

のざらしを こころにかぜの しむみかな

芭蕉初の紀行文のタイトルとなった句

野ざらしを心に風のしむ身哉貞亨甲子秋八月(1684年秋)に詠まれた松尾芭蕉の句。芭蕉はじめての紀行文に載る最初の句。その紀行文はタイトルが無く、「甲子吟行」などとも呼ばれるが、この句をもとにして「野ざらし紀行」と呼ぶことが一般的になっている。

千里に旅立て、路粮をつゝまず、三更月下無何に入と云けむ、むかしの人の杖にすがりて、貞亨甲子秋八月江上の破屋をいづる程、風の聲そヾろ寒氣也。
 野ざらしを心に風のしむ身哉
 秋十とせ却て江戸を指古郷

と続く。この句は、「行き倒れを決意して旅に出たものの、冷たい風が身にしみるぜ」というような意味になる。

「野ざらし紀行」では、旧暦8月中旬に江戸を出て、伊勢神宮を参拝した後、故郷の伊賀上野に入った。その後、関西・名古屋などを転々とし、木曾から甲斐に入って翌年の4月下旬に江戸に帰った。

▶ 松尾芭蕉の句